2010年10月16日土曜日

ガイトナー米財務長官らが金融危機調査委で証言

 【ワシントン】ガイトナー米財務長官は議会証言で、金融規制の欠陥によって政府の対応能力に限りはあったものの、2007、08年の金融危機に対して規制当局は「もっと多くのことが絶対できたはずだ」と述べた。

 同財務長官は、危機を食い止めようとした政府の努力は「結局、基本的に不十分で、時間もかかった」と述べ、規制当局がもっと迅速に被害を抑えていたなら、危機はあれほどには激しくはならなかったとの考えを示唆した。

 ガイトナー氏が証言したのは、金融危機といわゆるシャドー?バンキングについて調べている金融危機調査委員会。シャドー?バンキングは銀行と同様の活動をするノンバンクのことだ。

 同委員会は金融危機とその要因の分析を進めている。ガイトナー氏は世界の低金利が一つの主因だったと指摘、「世界中の実質金利が長期間にわたり、非常に低い水準にあったことが危機の一因となったと思う」とし、「これがリターンを求める大規模な資金をつくりだした」と述べた。

 市場が崩壊する中で規制当局が知らなかったことは何かとのフィル?アンヘリデス委員長の質問に対して同氏は、銀行の自己資本基準が、深刻なリセッションにまで発展する可能性のあるシステム内のリスクを把握する助けになっていなかったと述べた。

 ガイトナー氏はまた、住宅価格が下落する中で住宅ローン担保証券(MBS)を格下げしなかったと批判されている格付け会社の責任も指摘した。

 同氏は、銀行からデリバティブ事業を分離するとの上院の提案について、他の政府当局者と同様の警告をし、「リスクのある事業を規制の弱いところに持っていくこと、これが金融危機を引き起こしたことだ」と述べた。さらに、銀行業務の中心部分の機能を銀行の外側、強い規制の外側に持っていくことで経済がより安全になることはない、と強調した。

 連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁は今週、上院にあてた書簡で、金融規制改革法案からデリバティブに関する条項を削除するよう求めた。連邦準備理事会(FRB)の理事らもこの条項を批判している。

 ポールソン前財務長官はこの日の委員会で、ガイトナー氏と同様に、「規制システムには巨大な穴」があったとし、これが金融危機への対処を難しくしたとの見解を表明した。ポールソン氏は、市場の節度を確保するために、MBSのアンダーライターとオリジネーターが証券を全部売却するのではなく、その一部を保有することを提案した。

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引用元:信長の野望 総合サイト